横で眠る「あなた」【未完】
第22章
予定通り、理先輩のお母様が昼過ぎに到着した。
今回は1泊の予定だそうだ。

理先輩が、私たちをお母様に紹介した。
「奏は知ってるよね? 恵子は、何度か会ったことあるでしょ? そして、おつきあいしてる倉知恵理子さん。」と紹介した。

理先輩のお母様は、「奏くんは、うちに良く遊びにくるしね。恵子さんは、奏くんと一緒に何度か会ったことあるわね。」と言った。

そして、私のほうを向いて「あなたが、理とおつきあいしてくれてる女の子なのね。理恵子さんってお呼びしてもいいかしら?」と聞いて来た。
「はい。呼んでもらってかまいません。理先輩にはいつも良くしてもらってます。」と私は答えた。
理先輩のお母様は、微笑み「とりあえず、お茶を飲みましょう。」と言った。
そして、たわいのない話をした。

好きな勉強は何か、休みの日は何をしているのか、スポーツはするか、音楽はどんなものを聞くか、楽器は弾くかなどのたわいのない話が、実はのちのちとんでもない影響を持つとも知らずに、無邪気にお茶を楽しんでいた。

「恵理子さんは、恵理子ちゃんって感じね。」「私、恵理子ちゃんの事、気に入ったわ。」と理先輩のお母様は言った。

そして、私のことは「柚子さんって呼んで。」と言った。
彼氏のお母さんを名前で呼ぶなんて恐れ多いと思ったけれど、理先輩のお母様は「恵理子ちゃん。みんなそう呼ぶのよ。」と言った。

だから、思い切って、「柚子さん」って呼んでみた。
そしたら、優しく微笑んでくれて、「それで、いいのよ。」と言った。

この時の私は、お母様に受け入れて貰えた事だけで、いっぱいいっぱいで、理先輩がどんな顔をしていたかとかどんな気持ちだったとか全く気づくことができていなかった。
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