横で眠る「あなた」【未完】
第21章
朝食を食べていると、別荘に電話がかかってきた。
理先輩が、電話に出ると、理先輩のお母様から電話だった。
しばらく、話していたが、「わかった。」と言って理先輩は電話を切った。

「母親が、昼過ぎにこっちに来る。」と理先輩は言った。
奏先輩は、「柚子さんが、僕たちが滞在する期間に来るって珍しいな。」と言う。

それを聞いて、理先輩は「悪い趣味がもたげたんだよ。」と言う。それを聞いた奏先輩は「なるほどね。恵理子ちゃんね。」と言う。

それを聞いた恵子も「なるほど。」とか言っている。
その場でわかっていないのは、私だけになっていた。

恵子が「恵理子はわかってないって顔ね。」と私を見る。
恵子が「理先輩のお母様が、恵理子に会いたいから、来るんだってさ。」と言った。

私は、どうしようと思った。
まず、どんな服を着たらいいの?
そんなちゃんとした服なんて持って来てないし。

思わず恵子に「どうしよう?隠れてもいい?代わり会ってくれる?」など、わけのわからないことを言い出した。
恵子は、「落ち着いて。隠れたって、私が代わり会ったってダメでしょ? とりあえず、部屋で恵理子の服から、使えそうなの探そう。」って言ってくれた。

そして、唯一持って来ていたワンピース。
これが、使えるだろうとなって、それを着て、理先輩のお母様と初めて会うことになった。

財閥企業一族出身のお母様。
どんな人なんだろう?

彼氏の母親って、誰だって、緊張するだろうけど、財閥企業出身って余計緊張する。
奏先輩は、「気さくな人だよ。」なんて言うけど、それは奏先輩が理先輩と友人ってだけだからだよ。

私は、息子の彼女だもの。
先輩と同じではないんだよ。

気に入ってくれなくて、当たり前。
今後の努力を見てると言われてたら、及第としよう。
そして、どんな人だったとしても、理先輩を生んで育てているお母様の事を、私は好きになろう。

理先輩のお母様が、別荘に来るまでの間。
私は、そう心に決めた。
決めてしまえば、意外と心は落ち着いていた。
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