牙龍−元姫−




長々と軽蔑する眼差しで見つめる私の視線に耐えきれなくなったのか、友達が自棄になり叫んだ。




「あー!もうっ!わかった!わかったから!メロンパンでいい?」


「さあ早く購買に行こうか」


「現金だなオイ」




今度は友達が私を軽蔑の眼差しで見つめてくる。そうだよ?私は現金だよ。目先の利益によって態度がコロコロ変わる最低な女。だけど言わせたもん勝ちだから。



ふふん。

メロンパ〜ン

あ。遠い彼方からメロンパンが私を呼んでる!

待っててね!もうすぐ行くから!愛しのメロンパンよ!




ふふふ〜ん。やっぱり今日はついてる日かも。朝から野々宮響子さんにも会えたし。メロンパンも食べれるし。メロンパンは私の好きな食べ物ランキングでブッチ切りの1位だからね。






―――――メロンパン、野々宮響子さんも好きかな?











いつか私の名前だけでも知ってもらえる日が来たらいいな。いつ叶うかさえ分からない夢だけど。


死ぬ気でこの学校に入ったんだから一度きりでもいい、彼女と話せる機会がくればいいな。


私はそう固く心に秘めながら、メロンパンの為に友達の方に駆け寄るのだった―――――‥‥






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