牙龍−元姫−



そんな殺伐とした空気から賑やかな空気へと変わったときコトは動く。



少女の溢した言葉と笑みによって―――‥







「―――ふふッ。空らしいね」




…無意識じゃろうか?



口に手を当てて笑っている、ごく自然に。華が見えるのはワシの気のせいかのう?



目を擦るが気のせいじゃないようじゃ。華が浮かんどるぞ。



騒ぎたっていた空気も……シンと静まり返った。



華を魅せながら笑う響子ちゃんは逸れには気づいておらんようじゃ。しかし漸く気がついたのか居心地が悪そうに黙って俯いた。



ワシはどうすることも出来ん。彼らの問題じゃ。歯痒いのう〜…。



――――――――コップを磨く手に少しだけ力が籠った。





どうしようも出来ん空気のなか、黒が動く。





「―――響子」





自信の名前を呼ばれた響子ちゃんは俯いていた顔をあげた。



呼ばれた事に驚いた様子も不安気な様子も見られない。



黒と響子ちゃんの瞳がかち合った、その瞬間。





「悪かった」





黒が謝罪の意を口にした。



響子ちゃんは逸れでも揺らがない。どっしり構えとる。以外と逞しい子じゃな。




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