牙龍−元姫−
「気づくのが遅すぎた。言い訳なんてしない。全部、俺達が悪い」
そう黒は淡々と言う。じゃがそこには後悔の二文字が見え隠れしとる。
「…そうじゃないよ」
そんな自身らを責める黒に響子ちゃんは否定する。目を閉じて首を横に振った。
「誰が悪いとか―――――どうでもいいの」
ただお情けで黒等を庇っている訳でもない。彼女は本当に気にしてないようじゃ。この少女、芯が強いのう。
一度決めたら決して揺るがん頑固さと信念を持っとるのう。
「1ヶ月間居なかった私の過失もあるから―――‥」
哀愁を微かに漂わせる。睫毛に影がかかり更に空気を重くさせる。
「(ワシの気のせいか…?)」
思わず目を見張る。いや、この雰囲気でこの事に突っ込むことは、きっと可笑しい。じゃが普通は疑問に思うじゃろう…!
何でじゃ?何でなんじゃ!?
何で華が萎れとるんじゃ…!
さっきから響子ちゃんの周りを、うようよ浮かぶ華が感情に比例してか萎れとる。
何故誰も突っ込まん?その華が響子ちゃんの周りを浮遊のが普通なんか!?
……疲れたわい。もう突っ込まん。
「それは響子のお父さんが亡くなったからでしょ?仕方のない事だよ」
“…どうして。”
ガラスのコップを磨きながら横目で響子ちゃんを見とった。そしたら響子ちゃんの口がそう型どった。
白金は尚も続ける。
「“ある人”から不慮の事故って聞いたよ」
「そっか…」
このとき。少女の瞳が揺らめいたのに気づいたのはおったかのう?微かじゃが確かに揺れた。白金が"事故"だと言ったときに。