牙龍−元姫−










モシャモシャ



…………シーン



モシャモシャもぐもぐ



…………シーン



モシャモ―――――――――――バシンッ!!!!!




「いって!」

「んのブスが!鬱陶しい!さっきから『モシャモシャモシャモシャ』うっせえーんだよ!テメエは“シシャモ”か!」

「“モシャモシャ”だからって何でシシャモ!?アホか!」

「テメエは食い過ぎなんだよデブ!ちったあ静かにしろや!黙ってくえ!ああ゙!?」

「し、静かにしようとしてるから食べてるんじゃん!それに黙って食べてるし!無言じゃん!アタシ無言で食べてるよ!?」




モシャモシャとドーナツばかり食べる寿々。右手にはリングドーナツ、左手には林檎ジュースが握られている。


静かにしようと心掛けているのか俯いて食べるその姿はホラー宛ら。長い髪が顔を隠し、眼鏡が逆光で光る。そして、モシャモシャ、モシャモシャ。


なぜ遼は効果音に突っ込んだのか。僕ならそのホラーな所に突っ込むよ?





「だ、だってさ〜皆変だし。」





寿々も一応は気を使っているみたいだった。だから食べることに集中してたんだ。ごめんね、寿々?僕はただ食い意地が張ってるだけかと思ったよ。



寿々に少し感謝した瞬間、寿々を恨む羽目になった。素直な事は悪い事じゃない。でもそれは時として仇となる。





「皆さ、桃子ちゃんと知り合いなんだ?」





アタシも知り合いなんだ!と誇らしげに言う。完璧いまこの話はタブーだよね?お願いだから空気読んで。
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