牙龍−元姫−




何を作るかを決めてからの私の行動は迅速だった。



宛もなく進めていた足を店の入り口付近にある野菜のコーナーに戻った。そこにはまだキャベツの取り合いをしている奥様方。でも私の目当てはキャベツではない為、素通り。




私を目当てのコーナーにつくと玉ねぎとニンジンに手を伸ばし、籠に入れた。あとはグリンピースかな?と思いつつも嫌いなので買わない。



こんなこと里桜の前で言うなら『好き嫌いしてんじゃないわよ!』とか言われ張り倒されそう。



バレないように気をつけなきゃ。







料理なんて滅多にしない私。自炊なんて、最後にしたのはいつだっけ――――?


なんて考える私のマンションに調味料は確実にない。そう確信付いた私はバター・塩・胡椒と次々に籠の中にいれていく。


ホワイトシチューに使うであろう白ワインを奮発して少し高めのやつを選んだ。


久しぶりの自炊に段々とテンションが上がってきているのか、ホワイトソースも作ろうと思った。


―――――数分前の私なら確実にありえない。
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