獣は禁断の果実を蝕むのか。

「もう、常務ってば。ちゃんと話してないのね。」


眉をゆがませながら、ムッと口をとがらせて腕組みをした。


「すみません。」

「いいの。あのね、4ヶ月後に、この会社で大掛かりな人事があるの。その人事次第で、S&Gは世界のトップ10に入ることになるかもって話。」


「じゃあ、その人事って。」

「そう、専務執行役が取締役になるって話。だから、それを阻止したいうちの会社。ようは、提携先がデジウェアに興味を示していて。そのデジウェアを盗み出して提携先を横取りしたらデジウェアが世界に発売されるでしょ?そうなればうちの会社がトップ10入りってこと。」


そ…そんな裏があったなんて。


あまりのスケールの大きさに、まるでドラマか映画の世界の話に思える。


なのに私なんかでいいのかな?


もっと、仕事出来そうな適任者っていたと思うけど。


「でも、専務執行役は、凄腕と聞きましたけど。」

「そうよ。人じゃないわね。冷徹って言葉がピッタリの四文字熟語制覇って人。」


皆瀬さんの言葉に、一瞬、頭の中に牙を向き出したおじさんが思い浮かんだ。


でも、四文字熟語を制覇って意味が分からない。

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