獣は禁断の果実を蝕むのか。
「あの世界一有名な大学を飛び級で卒業したくらい頭もよくて、スポーツ万能、運転免許はA級ライセンス持ってるくらい。しかも、見た目もイケメンって言ったら分かる?」
「そんな人って本当に世の中にいたんですか?」
噂話って大きくなるけど。
そんなマンガみたいな人、現実にいるんだ。
でも、噂程度だよね?
半信半疑でしかない。
「いたの。性格は冷酷そのもの。だから、この会社の女の子はみんな専務執行役を『冷酷な獣』って呼んでるの。」
「そんなスゴイ人を私がダマすんですか!?」
もう、失敗した姿しか思い浮かばない。
「そうよ?だから今日からアナタは専務執行役の秘書だから。」
ニッコリと嫌味な笑顔を浮かべた。
「ムリです!!」
絶対にムリ!!
演技力なんて微塵もないし。
そんな凄すぎる人。
私なんかがダマせるはずないよ。