獣は禁断の果実を蝕むのか。

「最後くらい、アイツはやってくれたって…仕事出来る奴だったって…そう言ってもらうんだもん。」


必死に罪悪感に言い聞かせて。


こぼれ落ちる涙を止めようとした。


『完了』


最後のコピーが完成した。


もう、感じることのないこの甘い香り。


大きく深呼吸をして。


グシャッとスーツの袖で流れ落ちた涙をふいた。


ゆっくりとパソコンに差したUSBメモリーを抜くと、リビングのドアの前に立って。


クルリと部屋の中を一望した。


そして、緩やかに目を閉じて、もう一度、深呼吸をした。


パッと開いた目。

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