獣は禁断の果実を蝕むのか。

「……小松の好きにして。」


たった一言。


皆瀬さんの言葉には、何もかもを見透かしたように、そこには温かさがあった。


「いいんですか?」


まさか、いいと言ってくれることに驚いて。


つい、聞き返してしまった。


「私は、デジウェアさえ持って行ければいいの。手に入れたのは小松でしょ?だから、小松のしたいようにして。」


その言葉に、ゆるやかに瞳を閉じると、大きく深呼吸した。


そして


「ありがとうございます!!」


パッと瞳を開くと同時に、元気よく返事をした。


「頑張れ!!」


そう言ってくれる皆瀬さんの言葉が、私の背中を押してくれた。


電話を切ると、自分の家に向かって歩き出した。

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