獣は禁断の果実を蝕むのか。

「違うんですか?」


大きく見開いた目。


口も半分開いていると思う。


「悪いのは藤衛専務よ。まったく、社長のイトコってだけあって、手の早さは遺伝レベルね。」


呆れながら肩を落とした。


「それじゃあ、私はクビじゃないんですね?」


思わず聞いてしまう。


「当たり前でしょう?これ以上、辞められたら秘書室が回らなくなるわ。」


クスッと笑った。


「良かった。」


なんか、さっきまでクビになったらどうしよう?とか色々と考えちゃって。


室長の言葉に安心して、一気に力が抜けた。

< 58 / 387 >

この作品をシェア

pagetop