結婚できるの?
頭を抱えてうずくまる亜里沙を、千香は無言で見下ろしていた。


「……分かったわ」


亜里沙は言いながら、ゆっくりと立ち上がる。


「千香の言い分はよく分かった。智和さんのことは少しだけ考えさせて」


千香は何も言い返さない。

あんなふうに言ってしまったが、本気で亜里沙と智和の別れを望んでいるわけじゃなかった。


「本当に頭が痛くなってきたから、千香には悪いけど、今日はもう寝させてもらう」


亜里沙は一方的に告げると、自室に閉じこもった。
< 216 / 744 >

この作品をシェア

pagetop