結婚できるの?
メールを送信した千香は、残っていたコーヒーを静かに啜る。

千香の脳裏には、陽太との6年間が断片的に浮かんできた。


初めて会った海辺。陽太の明るい笑顔。

何度も抱き合った陽太の部屋。陽太の情熱的な瞳。

陽太が働くファミレス。接客する陽太の姿。

プロポーズしたレストラン。陽太の困惑した表情。

さっきまで観ていたライブハウス。スポットライトと声援を浴びて、キラキラと輝いていた陽太……。


千香はそれらの思い出を封印するように、コーヒーを飲み干して立ち上がる。
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