結婚できるの?
みぞれ混じりの雨が降り始めた。

会社へ向かう朝は晴れていたので、千香は傘を持っていなかった。

昼間、ランチを食べに外へ出たときも、空は明るかった。


コンビニへ寄ってビニール傘を買おうか迷ったけれど、目的地まで5分もあれば着く。

千香はコンビニに立ち寄らず、小走りして歩を進めた。

智和が忘年会と称して千香を誘ったレストランは、都心の駅から徒歩5分。

東京に住む大人ならば、誰もが知っている一流ホテルの中にあった。

千香がホテルに足を踏み入れると、ドアの端に立っていたホテルマンが、恭しく頭を下げる。
< 362 / 744 >

この作品をシェア

pagetop