結婚できるの?
亜里沙と毅は、スポーツジムから徒歩で約10分の焼き鳥屋に入った。

気取りのない庶民的な雰囲気の店内で、客の大半は中年のサラリーマン。


「いらっしゃい!」


カウンターの中央から店主らしき初老の男性が、二人に向かって威勢の良い声を張り上げた。


「こんばんは。今日も来ちゃった」


毅は常連らしく言い、笑顔でカウンターに座る。

亜里沙は黙って毅の隣に座った。

毅は店主に聞こえないように、小声で亜里沙に耳打ちする。


「ごめんね、こんな店で。だけど安くて凄く美味いんだ」
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