結婚できるの?
「すみません。亜里沙さんから見れば、私のやり方はズルイですよね」


美佐は一貫して素直に、ありのままの事実や本心をさらけ出す。


「正直、ズルイとか羨ましいって思う気持ちもある。でも結局、社会ってそういうものなのよね」


亜里沙の声には哀しみが色濃く混じっていた。

美佐は黙ったまま亜里沙を見つめる。

一瞬、二人の間には重たい沈黙が横たわった。


「いろいろ言ったけど、気にしないでね。美佐ちゃんはスタートラインに立てたんだから、とにかく頑張ればいいのよ」

「わかりました。亜里沙さんにビシッと言ってもらって、気が引き締まりました。私もう、弱音は吐きません。明日から心を入れ替えて頑張るつもりです」
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