ふたつの背中を抱きしめた



それは綜司さんが帰ってくる直前だった。

前回発作を起こしてからペーパーバッグを常備するようになっていたのですぐに治まったんだけれども。

帰ってきて様子のおかしい私を見た綜司さんはとても心配をした。


「もう治まったから平気だってば。」

「平気じゃないよ真陽。こないだの熱といい真陽は疲れてるんだよ。

…やっぱり仕事、しばらく休んだ方が…。」

綜司さんのその言葉に私は即効で首を横に振った。


「イヤ。仕事好きだもの。子供達、待ってるもん。」

そう言い切った私に綜司さんは困った顔をしながらため息をついた。


「…とりあえず家事はしばらく僕がやるから。お願いだから少しでも身体休めて。それから、明日は僕は仕事休みだから園まで送って行くよ。」


大丈夫なのに。

そう答えようとして私は言葉を呑み込んだ。
素直に受け入れた方がきっと綜司さんの心配が和らぐと思ったから。


「ありがとう。」


お礼を言って私は

もうすぐ突き放す綜司さんの優しさを受け入れた。


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