ふたつの背中を抱きしめた



帰りの車の中で、綜司さんは終始無言だった。

「ゴメンね…またすぐ迎えに来てもらうコトになっちゃって。」

そう言った私の言葉にも綜司さんは

「ああ…うん。」

と上の空の返事をしただけだった。



…さっき、リエさんとなんの話をしたんだろう。

綜司さんの様子がおかしいのはそのせいのような気がしてならない。

それとも、心配する綜司さんの制止を振り切ってまで出勤したのにこんな様で帰ることになって怒っているんだろうか。


車内には今まで感じたことのない気まずい空気が充満していて自然と私も無言になったまま、車はマンションへと到着した。


< 196 / 324 >

この作品をシェア

pagetop