ふたつの背中を抱きしめた


柏原 柊

と紹介された男の子は、私の方をちらりと見て実に素っ気なくペコリと頭を下げた。

あまりの愛想の無さに、正直、私は驚いた。


だって、ここで働く人は正規スタッフもボランティアも
当たり前だけど皆、子供を笑顔にしたくてやってきてる人ばかりなのに。

けれど、彼からはその意気込みも感じられなければ、本人自身が笑顔からは程遠い表情をしていた。

まるでむくれた子供のようにミーティング中もずっとそっぽを向いており、ポケットに手を突っ込んだままの姿勢からはまるっきりやる気は感じられなかった。


そんな様子と相まって、彼は私の目にはとても18歳には映らなかった。


やんちゃな子供のような黒くて硬そうな髪にあまり高くは無い身長はパッと見、中学生にさえ見える。

まだあどけなさの残る顔に、冷たくて、でも濃くて強い瞳がミスマッチな印象を私に強烈に植え付けた。



一言でいうならば。


『ひねくれた中学生』。


それが、私が柏原柊に抱いた第一印象だった。



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