ふたつの背中を抱きしめた



…園長は。柊に答えをくれた時の園長は。

きっともう『指導者』じゃなかった。

ただ、彼の幸せを願う

その為に自らも一緒に罪を背負う覚悟の… 彼を慈しみ愛する1人の存在になったんだと、思う。



「真陽。俺は独学で勉強もしてあっちで3年間働いて、そんで保育士の資格獲ってくる。

実技とかもあるし、いきなり受かるとは思ってないから、5年。

5年だけ待って。

そしたら俺、一人前になって…1人の大人の男として真陽にプロポーズする。

今のままじゃダメだって、今の俺じゃどんなに真陽を好きでも幸せに出来ないって、分かったから。

だから、一人前になった時。改めて真陽を迎えに来るから。」


「…で、でも」


「分かってるよ。5年後には真陽は結婚してるし、もしかしたら子供だっているかもしんないってコトぐらい。

それでもいいんだ。

俺、すっげーいい男になってくるからアイツと比べてよ。

そんで真陽が俺の手を取ってくれたら、俺はその罪も責任も全部受け止めるから。

子供ももちろん俺が育てるよ。真陽の子なら絶対可愛がれるし。

言ったろ?俺は真陽の全部が欲しいって。真陽の未来も幸せも、罪も過ちも全部ひっくるめて、俺は真陽をもらいに…奪いに来るよ。

だから…5年だけ待ってよ。」


夕陽の射し込むスタッフルームで

私と柊の顔が赤いのはきっと、夕焼けに染まったから、だけじゃないと、思う。



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