ふたつの背中を抱きしめた




男が、病室に飾ってある花瓶の花を取り換えていると


コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。


「誰だろうね、またキミの友達が遊びに来てくれたのかな。白石さんか三島さんかな?」


眠る女性に話し掛けながら、男は病室のドアを開けた。






「…あ…、どうも。こんにちは…。」



開いたドアの先に立っていたのは、まだ歳若い青年で

黒い瞳と髪が印象的な、男だった。




「…浅葉 綜司さん、ですよね?」


青年は、男の正面から堂々とそう聞いた。


< 271 / 324 >

この作品をシェア

pagetop