ふたつの背中を抱きしめた


平日の昼間は子供達が学校に行っていていないので基本的に人手が少ない。


なので、夜勤明けの園長とスタッフが帰ると、園には私と柊くんの2人だけになってしまった。


何をしていても沈黙ばかりが続いて気まずい空気が流れる。

柊くんは最低限の返事以外は私が何を話し掛けても答えるどころか顔さえ見てくれなかった。


このままではいけないと思い、思い切って

「あの…こないだはゴメンなさい…」

と口火を切ってみたもののそれはますます火に油を注ぐ結果になってしまった。

あからさまに怒った表情を浮かべた柊くんは書きかけの書類を放り出してスタッフルームから出て行ってしまった。


帰ってしまったらどうしようと危惧したがさすがにそれは無く、
けれども雰囲気は最悪のまま私達の時間は過ぎていった。


まるで私達の空気を読むように、空模様まで午後になると急激にどんよりと曇りだした。


1人で遊戯室の掃除をしていた私は急に暗くなってきた空に慌てて顔をあげる。

「やばい、降ってくるかも。洗濯物と布団取り込まなくっちゃ。」


独り言を口にしながら掃除道具をしまうと私は急いで裏庭へと走って行った。

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