伝えたくて、君に。
―翌日―

やっぱり、昼休みは屋上に来るようになった。

この空を、見たいから。

そして、歌いたいし。

毎日のように屋上にいる。

「~ただ一つの願いがかなうなら君は何を望む?~♪」



「この歌が、響くようにと届くようにと…♪uh…」


ムクッ

「!」

今度は誰?!

「やっぱ、歌うまいな。」

また、泰成。

ホントに何なんだよ。

ビックリするじゃん。

あたしと泰成は、あの日から屋上でちょくちょく会うようになった。

なぜかこいつがいると落ち着いて歌えなくなる。

でもおんなじくらい、歌が好きっ!

っていう気持ちが溢れ出てくる。

「い。お~い。」

「んわぁっ?!何?!」

「何はこっちのセリフ。ボケッとして。早く次歌えよ。」

「は?何で。」

「いいから。」

「(スゥッ)僕がずっと前から思ってることを話そうか、友達に戻れたらこれ以上はもう望まないさ♪」

「…」

「そんなんどこにも当てがあるわけないだろまだ、待つよ…♪もういいかい♪」

「…。」

「なんか言ってよ。自分から歌えって言ったくせに。」

「やっぱ俺、お前の声好き。その通る声、これからも聞かしてな。」

「…っ!」

急にガラでもないこと言って…。

変なの。
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