光の翼【編集中】

夢の始まり


「あーっ!!きっつーぅ…。」


コンクールのキャストに決まってから、私は毎日走り込みを始めた。
部活が終わった後、一人で走るのは怖いから、颯太の犬の散歩の時間に合わせて。


「何?もう弱音?」

「違うよ!!自分で決めたことやもん。」


コンクールでの上演時間は60分。
その内、私の役は殆どのシーンで登場している。

稽古を開始してから改めて、役者が体力・持久力勝負なことや自分の体力不足に気付かされた。

だから。

ちょっとでも不足しているところを補いたくって、走り込みを始めた。


「でもさぁ、稽古始まってから、先輩たちのあたりが今までよりも強いんよね…。」

「そうなん?」

「うん…。」


いじめとか、嫌がらせとは違う。

ただ、できていないところをできてないって指摘されるだけ。

全部、一つのお芝居をいいものにするため。

舞台を成功させるのに必要なこと。



でも。


自分でもできてないって分かってるところをできてないっていわれるのは、胸にぐさってくる。

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