涙空
「俺としては溜息つく前にこの式を解いて欲しいんだけどね」
「ははは」
「笑い事じゃねえよ」
「痛いっての!」
ばしん!と頭に衝撃が走る。
ちょっと待って。今なにで叩いた?それいつ持ってきた?
「…じ、辞書で叩くって有り得ないですよ」
「手元にあったから」
「なかったですよね?絶対どっかから取ってきましたよね?」
じんじんと脈打つように痛む頭を押さえて、涙目で下から睨み上げる。
こ、この教師は何回私(一応生徒)の頭を叩けば気が済むんだろう。
いくつ脳細胞が死んじゃったことか!
「人の脳細胞殺さないでくれますか」
「なら俺のお前の補習に費やしてる時間を返せ。いますぐに」
「無理です」
それは無理だ。
心底迷惑そうに顔を顰て私に言った担任に、即答した。
それが余計気に食わなかったらしく「早く解け」と目で訴えてくる。
はいはい。わかってますよ。わかってますとも。
「わかんないんです」
「なにを堂々と言っちゃってんだ。馬鹿丸出しじゃねえかよ」
「馬鹿ですいませんね」
この教師はいちいち奸悪な言い回し方を…。
流石にこう何度も言葉のキャッチボールをしてると溜息をする気も失せるというもので。
シャーペン片手に、私は不服そうに顔を歪めた。