幕末オオカミ


新見は、膝から崩れ落ち……
腹に脇差を突き立てたまま、畳に突っ伏した。



「死んだ……」


「しょうがねえな。
一応、切腹ってことにしとくか。
足の傷は……どうすっかな……」



土方副長は至極冷静に、そんな事を言う。



「……ぐるる……」


「あっ!!」



その横で、狼化した沖田と目があってしまった。


これは危ないっ!!



「副長、沖田を早く戻し……うわっ!!」


「がうぅうっ!!」



沖田は血の匂いがぷんぷんする床に、あたしを押し倒した。


そのまま、前回のように接吻しようと迫る。


あたしは両手で沖田の顎を、必死に押さえた。



「コラ、待てっ!!お座り!!」


「わう、ぐわうっ」



土方副長のように命令してみるが、相手は狼。犬じゃなかった。



< 197 / 490 >

この作品をシェア

pagetop