幕末オオカミ


矢継ぎ早に質問すると、総司は閉じていた切れ長の目をうっすら開けた。



「うるせぇんだよ。ちったぁ静かにしろ」


「っ、そう……っ」



低い声でボソリと言うと、突然あたしを引き寄せた。


そのまま頭の後を抱かれ、顔が見えなくなる。



「ねえ、」


「黙れ」


「そういうわけには……」


「頼むから、聞かないでくれ」



ぎゅう、とあたしを抱く腕に力がこもる。


その腕は少し震えているようで、あたしは何も言えなくなった。


……芹沢を斬った時に似てる。


総司は、何かを恐れてる……。


黙ってそのままにしていると、やがて総司の方から腕が離された。



「……悪い。忘れてくれ。誰にも言うな」


「総司……」


「帰ろう」




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