幕末オオカミ


「土方さんは、お前の相手するほど、暇じゃねぇんだよ」


「…………」


「だいたいお前は、ここでは一番年若だ。誰を呼ぶときにも、『先生』をつけること。

今度土方さんを呼び捨てにしてみろ。その時は、俺がお前を斬り捨ててやる」


沖田は吐き捨て、背を向けた。


やっばー……怒らせちった。


でも、そんなに怒ること?


もしかしたら土方と沖田は衆道(同性愛のこと)の仲?


武士の主従関係ってのは、よくわからん。


ひとつだけ、わかるのは……沖田を怒らせると、まずいってこと。


「兄上、ごめんなさい」


「うるせぇ、触るな。さっさと歩け」


……おお、完全に怒ってる。


昨日は照れたような感じだったから、調子に乗っちゃったなあ。


どうしよう……


沖田が怒ってると、何故か胸が重苦しいよ。


なんでかは、わからないけど……。


< 39 / 490 >

この作品をシェア

pagetop