笑う門にはオレ様がきた!!
「ところで和、最近お前の印象が
随分変わったって
色んな取引先から言われるぞ
さては女でも出来たか?」


と、長男の雅(みやび)が言う。


相変わらず兄貴は鋭いな
てゆーか、この業界狭いな。


「なごむ兄って、特定なのは
作らないんじゃなかったのか?」


と、一番下の匠(たくみ)が言う
ったく、男の癖にペラペラとうるせぇーな。


取り合えずと…


「猫を飼っている。」


正直に話すと面倒な事になるのは
簡単に想像つくから適当にごまかすか、



「「猫ぉ?」」


「あぁ、可愛いぞぉ
毛なんかフワフワしてて
抱いてても柔らかくて気持ちいいしな。」


と、心音を思い出しながら言う。


「オレ、猫好きだなぁ。」


「だろ?匠は昔っから
猫飼いたがってたもんな
知ってるか?
布団に入れて一緒に寝ると
たまんないぞぉ。」


俺も調子に乗ってきて
そんな事を言ってみたら


「それはいいな
早速、今度、千夏(ちか)となごむ兄の家に
行くから抱かせてよ。」


「ダメだっ!」


即答するオレ
千夏ってのは匠の彼女で
どうも近頃の匠は相当、千夏って子に
骨抜き状態だ。


「何でダメなんだよ
別にいいだろ?猫見るくらい。」


と、しつこく食い下がる匠に
オレはうんざり顔をついついする。


「猫って結構、繊細なんだよ
知らねぇ人が急に来たら驚くじゃねえか。」


「知らない人って弟だよ。
それに千夏は動物とか好きだし
優しく接すると思う。」


「ダメだ、ダメなものはダメ。」


「なんだよ、なごむ兄、ケチな事いうなよ。」


「ああ、もう煩い!
そんなに、猫みたけりゃ
二人で猫カフェでも行って来い。」


俺達があーでもないこーでもないと
言っているその様子を黙って
見ていた兄貴が


「ふうん、猫ねぇ…
その猫ちゃんはお前に抱かれて
さぞかし良い声で鳴くんだろうな…。」


と、ニヤニヤしながら兄貴が言う。


ダ、ダメだ、
勘のいい兄貴は何か気づき始めてる。






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