どうぶつ童話集。
ふくろうはくじらの足跡へ飛び降りてくじらを見上げました。
「ほら、お前の通った後を見てごらん?山は壊れ、森の木々は倒され、潰された動物たちは怪我なしにはいられない」
くじらは自分の通った後を振り向いてなんだか悲しくなりました。
「それにお前の腕を見てごらん、お前の腕は私たち鳥のように大きな翼の形をしているけれど空を飛ぶことは出来ない
そしてお前の足は大きなヒレがついたのがひとつだけ
私たちのように飛ぶことも出来ず、動物たちのように四本足で駆け回ることも出来ない、なぜかわかるかね?」
「それでも僕はこの大きな腕で前に進むことが出来ます」
くじらは翼のような腕を必死で動かして前へ前へと進みます。
そのたびに大地を傷つけているのを知りながら、それでもくじらはここが自分の居場所なんだと言いたかったのです。
ふくろうは首を振りました。
「お前の腕は大海原を自由に泳ぐための翼なんだよ…それに聞こえないかい?大地の傷つく叫びが」