君一色
蒼side*
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「おい馬鹿。」
大雨が去った後、
帰宅しようとキャンパスから出たところで声をかけられた。
「ーー何だよ」
「何だよじゃねーよ。一日フリーな蒼くんはどこで何してたのかな?」
珍しく恭弥が怒っている。
「勉強してた」
「和音ちゃん一人にさせてか?」
和音の名前に思わず心臓が騒ぐ。
あー、そうだよ。
和音に会うのが怖いから
逃げてるんだよ。
「泣いてたぞ。」
「・・・」
何も言葉が出ない。
何も言い返せない。
そんな俺を見て
恭弥は呆れたように笑った。