君一色




あの時
和音は全く抵抗しようとしなかった。

震えて、怖がってるのを分かってたはずなのに辞めなかった最低な自分を
必死で慰めようとしてくれた。





そんな和音の前で、俺は初めて本音を言った。




「しんどい。ーーーーーーしんどいよ。」


頭を下げてそう呟いた俺の手を、和音はゆっくりと握った。


そして、まるで子供をあやすかのような笑顔を見せると



「大丈夫。」




そう言った。





何の保証があるわけでもない
なのに、その言葉に妙に安心感が沸き起こる。







本当は、さ。

ずっと楽になりたかったんだよ。




< 242 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop