君一色

なんとも言えない表情で、彼女を見つめた。

「何?その顔。早く帰ろうよ。」

「――……はいはい。」

私はため息をつきながら、厚手のコートに手を通した。


登下校をともにしている、小学校からの親友、桜木 鼓乃実も“青春”という単語をよく口に出す。要するに、恋愛をしているかしていないかってことなのか?
「…だったら鼓乃実だって青春じゃんか」

「え?なんだって?」

呟き程度で口に出した私の言葉は、鼓乃実には聞き取れなかったらしい。


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