天神学園高等部の奇怪な面々30
困り果てている翡翠を察したのか。

「えへへっ…」

雛菊は、ぐしぐしと両手で涙を拭い、いつも通りニパッと笑う。

「すみません陸上部のキャプテンさんっ、丹下 雛菊早退しますっ」

突然そんな事を言われ、目を白黒させる陸上部キャプテン。

返事も聞かないうちに。

「先生っ!」

雛菊は翡翠の手をグイッと引っ張る。

「む、な、何だ」

「先生ん家行こう!ケーキはよく冷やして食べた方が美味しいよっ!」

あろう事か、雛菊はこれから夕城邸に上がり込む気らしい。

「だって!」

明るく弾む雛菊の声。

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