二重人格な後輩
そんなことを思いながらも、昨日配られた教科書を机から出した。
置き勉しといて良かった。
初めて本気でそんなことを思った。
「なにからしたい?」
俺の前の席に座って、後ろを向きながら聞いてきた。
「じゃ、じゃあ英語で」
そう言って英語の教科書を出す。
桃はペラペラ教科書をめくって、
「ここ、分かる?」
俺の顔を覗き込んで聞いてきた。
ドキッとしながらもそれを隠して、
「分からないです」
そう答えると「ここは……」と説明し始める。