オオカミヤローに捕らわれて
妹に後押しされた吹雪は、眉間にシワを寄せてちょっとだけ考える素振りを見せた。


「…………分かった。玲美、留守番よろしくね」


玲美はコックリと頷き、姉が門を開けて外に出るのを見送る。


オレの真ん前に立った吹雪は、オレと目を合わせようとしなかった。


「あっ……どこ行く?」


「近所に神社があるから………そこに行こう」


吹雪の提案で、2人で神社に向かう。


決してデカくは無いけれど、キレイで涼しい風が吹く神社だった。


石で出来た階段に、並んで腰を降ろす。


この空間には


意地もプライドも必要ない。
< 320 / 430 >

この作品をシェア

pagetop