オオカミヤローに捕らわれて
段々空になってゆく部屋を見てると、何だか異常に悲しく、さびしかった。


ここを出て行ったら、もう統牙に会えないかもしれない。


そう思ったらまた涙が滲んで来たけど……荷造りを終わらす。


でもって今日の朝、誰にも見つからない様に成見家を後にして、自宅に帰って来たんだ。


なのに………


「――――なんで出て行った」


今私の横にいるのは、成見 統牙ご本人。


キレイな整った顔を歪めて、怒りのオーラを放っていた。


「ごめんなさい………」


目を合わせれなくて俯きっぱなしの私は、これだけ答えるのがやっとだった。
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