オオカミヤローに捕らわれて
「だけどいつの間にか、好きになってたの。もちろん“お坊ちゃま”としてじゃなくて、“男の子”として………」


統牙の腕の力が弱まったので、腕を上げて涙を拭う。


風が顔に当たる度、涙が流れた部分がヒンヤリと冷たかった。


「これ以上アナタと一緒にいると、もっともっと好きになっちゃいそうで、怖いの……だからもう、成見家には戻れません………」


両手で顔を覆い、泣き止めない私。


私達以外誰もいない神社は、まるでそこだけ世間から切り離された空間の様。


私のこの気持ちも、切り離せたら……


楽になれるのかな?―――…統牙。
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