ヴァージニティー
それを聞いて、樋口の顔が青くなる。

まさか実の妹だったなんて、夢にも思ってなかっただろう。

そのうえ脅して、犯したのだ。

「金輪際、あんさんが孫ン前に姿を見せへんと言うなら堪忍してあげます。

せやけど約束を破った場合、うちかて考えがあります。

よろしおすね?」

祖母の問いに、樋口はガクガクと首を振って答えた。

「ほな、早う出て行っておくれやす」

祖母が言い終わったのと同時に、樋口は逃げ出した。

樋口の後ろ姿を見送った後、
「夕子、朝人」

祖母が2人の名前を呼んだ。
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