ヴァージニティー
(あたしはあっちゃんしかいらないもん)

夕子は心の中で呟いた。

男は朝人だけで充分だ。

朝人しか思えない。

朝人しか感じない。

「ウチの旦那はさ、若い時はそうじゃなかったんだけどね、今はチビ・デブ・ハゲの三拍子。

もう一緒に歩くのも恥ずかしい!」

ケイコさんがそう言ったのと同時に、ガチャッとドアが開いて社長が入ってきた。

「諸君、おはよう!」

社長が夕子とケイコさんに向かってあいさつをした。

「おはようございまーす」

夕子とケイコさんは社長にあいさつを返した。

同時に、夕子は社長の後ろに誰かがいることに気づいた。

ケイコさんが言っていた、例のイケメンの新人だろう。
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