ヴァージニティー
この場にいて、自分の手をつかんでいるのは朝人だった。

彼の存在に驚いている夕子に、
「帰るぞ」

朝人が夕子の腕をひいた。

「えっ、あっちゃ…?」

夕子は訳がわからなかった。

どうして朝人がここにいるのだろう?

そう思いながら、朝人に腕をひかれるまま、夕子は彼と一緒にその場を去った。


腕をひかれるまま、朝人と一緒に自宅についた。

「――あっちゃん、どうして…」

ドアを閉めたとたん、朝人に抱きしめられた。

「――あっちゃん?」

名前を呼んだ夕子に、
「気づかなくって、悪かった」

朝人が言った。
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