いつか見る青
第四章

まもなく11:30になろうかという頃、約束通り、神崎さんが車で迎えに来てくれた。


「携帯の契約って意外と時間がかかるんですよ。まずは先にランチを済ませてしまいましょう」


言いながら、神崎さんは車をスタートさせる。


数分後、たどり着いたのは、美山家から最寄り駅までの途中にあるらしい、閑静な住宅街の中のちょっとお洒落な喫茶店。


いや、こういうのは「カフェ」って言った方が良いんだろか?


その定義がイマイチ良く分からないんだけど。


お昼にはまだちょっと早い時間なのに、私達が着いた時点ですでに店内は満席になってしまった。


お店自体がそんなに広くないというのもあるけど、やっぱ夏休みだから普段よりも混むのかな。


実際、店内には私と同年代くらいの女の子の姿が目立っていた。


他には、小さい子ども連れのお母さんのグループと、すでにご隠居生活を送っているんだろな、と推測できる年配の男性と、外回りのビジネスマンらしき人。


その人達は夏休みとか関係なく、常日頃からここを利用してるんだろうけど。
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