××倶楽部

 ボケボケしてんじゃねーよ、って典の声が聞こえてきそう。

 ずっと一緒にいたから、典のことはなんでもわかっちゃう。

 だから、あれが本気なのか、ふざけてるのかなんて、私はもうとっくに気がついてるんだ。気がついてて、知らないふりしてるのは、多分典の気持ちに答えられないから。



「おはようございます!!」


 今日の一番のりは、スミレ様だ。一目散に社長の膝の上に乗ると、体大丈夫? と上目使いで風邪の心配をする。


 スミレ様は腕を社長の首に回して、抱きついたり離れたりを繰り返して社長を独り占めする。


 悔しくないわけじゃない。うう、辛い。最初の頃よりこの恒例行事を目にするのが辛くなってきてる。


「だからー、またお臍にピアスあけたいの」


「ですから、駄目です!」


「聖夜の意地悪!」


 社長は、マスク顔できりっと真面目な顔をした。


「僕は、スミレさんのことを想って言ってるんです!」


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