××倶楽部

 これがSM倶楽部の社長の彼女でいるリスクだとしたら、私この先もずっと社長とうまくやっていけるかわからない……


 ガムテープでぐるぐる巻きの社長と目があう。涙で滲んだ視界の中で、社長は大きく首を振った。



 死刑執行される囚人みたいだ。


 ミーナ様に肩を押される。


 艶々と磨かれた木馬。ここに座ったら、痛そう……そんなの見た目だけで想像できるよ……今まで何人の男の人がここで苦しんできたんだろう? あ、喜んできたのかな?


 私は、全然嬉しくないんだけど……



 ドン! と音がして振り返ると、リオ様に乗られてじたばたともがいてた社長が診察台みたいなベッドから落ちたところだった。


「社長……っ!?」


 リオ様は社長には目もくれないで、立ち上がると腕を組んで難しい顔をした。


「ミーナちゃん。芽依ちゃんが、全然喜んでないわよ」


「はあ? でも、リオ。喜ぶとか関係ないだろ、芽依は私たちの聖夜をたぶらかした女だぞ! もう二度としません、って反省するまで懲らしめてやろうよ」



 もう二度としません、って社長と別れるまでってこと? 立ち眩みがしてきた。


「うーん、でも私の中のプロ魂が許さないのよねー。いいわ、かわって」


 ひぇっ? 喜ぶまでやるの?


 社長は床でもがいて、なんとか口の猿ぐつわが少し外せたみたいで突然叫びだした。


「ミーナさん! やめてくださいっ! 芽依が涙ぐんで嫌がってる姿が可愛すぎて苛めたくなるのはわかるんですけど!」


 しゃ、社長……フォローになってませんけど……


 

 
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