××倶楽部
床に転がっていても、ガムテープでぐるぐる巻きにされていても、社長の端正な顔は決して崩れずに、いつもは優しい顔が少し鋭くなる。
「僕たちのことは、ほっといてください。仕事は仕事と割り切ってやります。それは芽依にも、きちんと話てあります」
リオ様は高いハイヒールをかつんと鳴らして社長の前で仁王立ちした。
「割り切ってできるの? 聖夜の仕事は、この店の経営以外に私たち女王のメンタルケアから体のことまで全てサポートしてもらわなきゃ嫌なのよ。皆、聖夜が受け入れてくれなきゃ、この店なんて辞めて他にいっちゃうわよ? 聖夜、それをわかってるの? だから、あなたは……」
それがリオ様の本音?
だから、もしかするとリオ様は社長に対して我慢してる?
「マーベラスの魅力って……それだけですか? リオさん……」
社長が悲しそうな声を出した。そのやりとりは、リオ様と社長にしかわからないやりとりで、どこか私とミーナ様は部外者のようだった。