××倶楽部

 社長はライトから私に視線を移して、少し驚いたように「そうでしたか」と笑った。


 典のことを話すなら今しかないと思った。

 だけど社長に体を預けたまま典の名前を声に出したことが、自分の嫌な部分を全てさらけ出しているようだ。

 これじゃあ、まるで私の特別は典だと宣言してしまったようなもの。恋愛とは別次元だったはずのものが、急にそこに入り込んできたような違和感がある。


 社長の腕にのせた頭を持ち上げて起き上がろうとすると社長は「……気にしないでください」と私の考えを読んだかのように頭を撫でた。


「僕の話をしますよ。このままで聞いてください……」



 社長はゆっくりと話してくれた。


 小学生の時に、女みたいな顔してる、って同級生に苛められた時の話。リオ様だけは、聖夜は男よ、って言ってくれたとか。

 十四歳の時に、キスって何か知りたくてリオ様にお願いしたらキスだけじゃなくて全部教えてくれちゃった話。

 それから恋人みたいな日々が続いてたのに、あまりうまくいかなかった頃の話…………社長のお母さんが亡くなった時の話には思わず涙がこみ上げてきた。



「リオさんは、僕の手には負えない女性なんですよ。そこがお互い歯がゆくて、恋人としては相性が最悪なんです」



 そうか……二人ともサディストとサディストだからかな?

 お互い支配しあいたいみたいなところがあるもん。




「それでも、まだ好きなんですか……?」




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