××倶楽部

「えー、別に何もしてないよ。パジャマに着替えてすぐ寝ただけだよ。ねえ、典?」

「お……おう」 


 アキ兄が人差し指でメガネをキュッキュと擦ると、湯気の合間から鋭い睨みが俺に突き刺さる。


「へぇ……着替えてか? なあ、典」


 不味い……。アキ兄が怒ってる。


 アキ兄は、美少女戦士と同じくらい芽依を大切にしてんだ。

 酔った勢いで、しかも芽依に記憶がないのに勝手にキスしておまけに処女奪ったとなれば…………



 死、という一文字が自然と頭に浮かんできた。



「なあに? 私、すぐ寝ちゃったし、典なにかした?」


「し……してねぇよ!! 誰がおまえみたいな子ども体系の処女に何かするんだよ! ばっかじゃねぇーの、自惚れんな」


「な!? なによー! 人が気にしてることズケズケ言わないで! 私だって大学生になったら彼氏とかできちゃうもん!」


「できるわけないだろ、誰が処女なんか相手にするか。重いんだよ、めんどくせぇんだよ!」


「そっ……そんなの典は彼女たくさんいてヤりたい放題だからいいかもしれないけどね! きっと、私のはじめて大切にしてくれる人がいるもん!」



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