××倶楽部
結局、あの時の後悔が今でも私の中にわだかまっているのかもしれない。
聖夜の全部を手に入れたいと欲張った結果、聖夜は今でも私を恨んでるんじゃないかと怖くなる。
芽依ちゃんと付き合った時、聖夜は確かにこう言った「僕は家族が欲しいんです」と、恋愛がしたいわけじゃない。聖夜は、まだ、あの姿を追い求めているんだ。
聖良さんは女王様をしていたけど、とても家庭的な人だった。料理も上手で、おやつも手作りをしてくれるお母さんだった。
聖夜は、ナンバーワン時代の聖良さんを知らない。記憶にあるのは優しくって暖かい普通のお母さんの記憶だけ。
今の私の対局にあるような女。
「ねえ、聖夜。摩夜さんは、聖良さんの行きたい場所ランキングの何位まで制覇したの?」
「えっと……ですね」
聖夜はチェストの引き出しを開いて、大量のハガキを机の上に置いた。
摩夜さんの放浪癖は、聖夜が社会人になった頃からスタートした。摩夜さんは大学生の息子の送り迎えまでするような父親だ。
ようやく子離れできたと思ったら今度は放浪と極端すぎるけど、そこが摩夜さんらしい。
「今で55ヶ国目ですね。ジェノバにいるようです。ほら、これが五日前のハガキです」