××倶楽部

 お兄ちゃんの部屋の扉をノックして、返事がある前に遠慮なくドアを開くと、フトドキモノ、と恨みがましい返事があった。


 兄は、IT企業で働くコンピュータープログラマーで理系の大学を卒業したあとすぐに、今の会社に就職した。


……ていえば聞こえがいいけど、うちのお兄ちゃんはシャツはズボンにインが基本で秋葉原を聖地と呼ぶ、本物のオタクっていう生物だ。


 今はパソコンの前にかじりつくように座っている。


「ねえ、お兄ちゃん。お兄ちゃんの知り合いとかの会社で経理事務員募集してない?」


 部屋には全面(床以外)に、お気に入りの美少女アニメのポスターが貼られていて、スエットの上下姿の兄は美少女戦士の抱き枕を膝に抱えたままパソコンに夢中になっていた。



「妹、質問の意味が七割理解できぬ」


「今の就職先がちょっと不安でさ、ほら、最近プログラマー仲間が次々に独立したって話してたじゃん! もし、経理とか事務募集している人がいたら私のことを紹介してくれない?」



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